エクスプローラーズクラブの冒険

エクスプローラーズクラブでの冒険について、当事者たちが綴るブログです。

EXPCヨット部

未来から時間を流す

未来から時間を流す。クラブに入会して、ずっと考えていた言葉だ。 人生を変えようと思ってエクスプローラーズクラブに入会した。ただ、その答えは見えずにいた。そんな状況を打破したくて、人生は妄想から始まると思い、休みを利用してほとんど人とも会わず…

さよなら、カタリーナ海峡

2018年4月28日夜。酪農家は緊張していた。 カタリーナチーム6名と、ヨット部メンバーによるミーティングが行われた。議題は「5月7日に迫ったカタリーナ海峡決行について」だ。サポート艇に関しては「一艇確保できるかもしれない」という情報があった。 決め…

津軽海峡冬景色

ドーバー2陣の解散後に思いついた『オーシャンズ・セブン』というヨット部のプロジェクト。 企画で盛り上がっているだけじゃ絶対にダメだ。すぐにやらないといけない。実際に見せないとみんなすぐに冷める。「日本国内でアクセスも楽だろう」という理由でそ…

泣いて肉をくらった21歳

目の前に広がる爽やかな空と淡い海。 ふたつの「あお」は、互いにぶつかり合うでもなく、ただ目の前で穏やかな時間を過ごしているのだ。崖の上から海を眺める21歳の若者は、その景色とは裏腹にまったく穏やかではなかった。 カタリーナ海峡。世界7大海峡の…

異国での船さがし

2016年4月、ジブラルタル海峡縦断プロジェクトが発表され、そこに10名が手を挙げた。 経営者、OL、産婦人科医、モデル、モデルの夫、雇われ社長、フリーター、レースクイーンなど、職業は様々。東京、埼玉、愛知、静岡、福岡、佐賀と住んでるところも、年齢…

渡米前のこと

Monte-Carlo号は夢の島マリーナを出港した。 ティラーを操作していたのは、ツガルだった。ティラーとは車のハンドルみたいなもので、ツガルがヨットを操作していた。 「トシ、ヨット気持ちええやろ?」ツガルはそう語りかけてきた。 実はツガルとは、このイ…

捨てた名前

「ミヤマエさん、ヨットは初めてですか?」 『Monte-Carlo』号に乗り込んだ俺に部長は声をかけてきた。 ミヤマエさん。今は違う名前で生きている俺にとっては、懐かしい名前だ。TOSHI TONICという現在の名前で生きるようにした話は、またいずれ語ろうと思う…

筋肉は裏切らない

トシとぼくの出会いについて書いておこう。 ぼくはエクスプローラーズクラブのなかでは、多くの人と会うほうだ。理由は簡単で「酒豪だから」。毎日どこかの酒場にいると、誰か彼かがやってくる。 トシとは、品川で会った。 ちょうど先週、モナコに移住したご…

理由

「重い」 その刹那、世界がゆっくりと傾く。そういえば、バイクで事故ったときもこんなんだったっけな。一秒という時間が、熱された飴のように引き伸ばされる、そんな感じ。ガラガラ。バシャン。奇妙なほどの静寂に包まれたハワイ沖に、タクマが船長となった…

俺、ハリウッド俳優。

カタリーナ海峡。アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスからカタリナ島までの約50kmの海峡。真っ青な空に陽気な気候。ふだんは、カルフォニアの雰囲気と同様に爽やかで明るい海の表情を見せるが、その下には、サメが徘徊する危険な海でもある。映画『ジ…

海に出るまえにすでに寒い

アマカワは震えていた。 2月上旬、真冬の芦屋のヨットハーバー。ヨットの艤装中だ。ハーバーにはヨットが、すぐに乗れる形で置いてあるわけではない。帆を張り、ロープ類を付けて、通して、と、一つ一つの部品を取り付けていかねばならない。それを艤装とい…

女神降臨

パシャパシャパシャ! 2015年2月22日、何回目かの『人生を愉しむシンポジウム』でカメラマンを担当していた彼女は、ステージに立ってスポットライトを浴びている赤いジャケットの8人の女性たちを夢中で撮っていた。 この女性たちは、2月3日に沖縄・慶良間諸…

どう走ったっていいんだよ

その日はひどく暑かった。 タクマが東京に来てはじめて迎える夏。照りつけるような太陽に灼かれる人々を横目に、こみ上げる高揚を抑えながら、葉山マリーナへと駆けつけた。 はじめて。 そう、人生ではじめて。タクマは今日ヨットに乗るのである。 視界に葉…

ジブセールとの出会い

アマカワと出会ったのは晩秋の名古屋。 その日、エクスプローラーズクラブの集まりがあり、そこに来ていたかれと二次会で話をした。所在なさげにしていたアマカワに話しかけたのは、ぼくのほうだったと思う。熱気に溢れる会場のなかで、なにせ存在感がなくて…

続・オーシャンズセブンのはじまり

もう一度、ドーバーを渡るという選択肢はなかった。 「じゃ、泳いでわたる?」「なんでだよ。でも昔、テレビでやってたよね」 すぐにウッチャンナンチャンを検索した。ヨットに乗っていると「オレもお前もない」ということがわかるようになる。言葉にしなく…

オーシャンズセブンのはじまり

このプロジェクトが始まったのは葉山だ。 ドーバー海峡を2艇で渡ったあと、エクスプローラーズクラブのヨット部は次のプロジェクトをさがしていた。当初「ドーバー2陣」という計画があり、ぼくはそのリーダーとして手を挙げた。何人かがジョインしてくれたが…

クック海峡の洗濯機直前

クック海峡はニュージーランドの北島と南島との間に位置する。 このチームは当初、3人だった。天候の関係で、そのうちのひとりの到着を待たずして、結果的にはふたりで渡ることになる。彼らが挑んだ南半球の海峡は、オーシャンズの7つの海のなかでもっとも…

オーシャンズに最も遠い人間の、はじまり。

なんとかしてその日の仕事をやっつけて、ある雨の日、芦屋の打出駅というホームに足を下ろしたかれは、改札口で待つ爽やかな笑顔の男性に声を掛けた。 「カワムラさんですか?」 「うん。君がアマカワくん?」 お互いにメッセンジャーアプリを見合い、はじめ…

風を待つ男

ヤスたちは、ドーバーにいた。この街に到着してはじめてのスカッとした青空とジリジリする陽射し。 陰鬱な曇り空に慣れっこなはずの英国人たちも、本音はこんな青空が好きなんだろう。そうでなければ、コート・ダジュールのバカンスにあれほどの人間が集まる…

六本木でのランチ

エクスプローラーズクラブにはある日、ヨットが仲間としてやってきた。 メンバーの女性が「ヨットに乗ってみたい」といったことがきっかけである。ニクソン・ショックの時期に米国留学していた船大工がつくるディンギーだった。名前は、高野さん、だっただろ…

2018年2月17日都内某所、酪農家の場合

この日、『 エクスプローラーズクラブ Day』(略してEXPC DAY)というイベントが行われていた。場所は都内某所。 正確にいうと、ぼくが最初のサラリーマン時代の会社の研修所だ。全国から大勢が集まるので「コスパが良いところを」ということで、散々探して…